2012年05月07日

低価格タブレット

低価格タブレット
低価格タブレット、結構使えますよ
仕事がら、CADデータや数表を持ち歩きたいことが度々あるので、タブレットPCを買ってしまいました。とはいっても、前に書いた通り「拘り」というものがなく、目的の使い方さえできればそれで良い(勿論格好は良い方が嬉しいですが)訳です。そして何より、iPad等やメジャーなメーカのタブレットPCを購入するゆとり等ありません。必然的に、いわゆる「中華タブレット」に行き着くのです。

必要なのは、
1)CADのデータ(立体のデータ)を表示させ、動かすことができる性能を持っていること(出向いての打ち合せに必要)。
2)WiFiが使えること(とりあえず3G回線等はいらない)。
3)使用時間が長いこと(持っているネットブックAcer Oneは2時間程度でアウト)。
4)Skypeが使えること。但しビデオはどうでも良い。
5)スピーカを内蔵していて、直接音声や音楽を再生できること。
6)パネルが静電式であること。
7)できるだけ多くのアプリケーションが使えること。
8)A5程度の大きさで、持ち歩くのに邪魔にならず、重くないこと。
等です。

結局選んだのはONDAのVi10という機種です。
ただ、使えるまでの面倒な設定はしたくないので「日本語環境設定済み」という、とてもPCマニアとは思えない選び方をしました(笑)。
まぁこういった場面でも「使うのが目的であって、そこに至るまではどーでも良い」という、全く「拘り」なしな思想なんですよ。
ainol Novo7 Paladinというもっと低価格なものにも惹かれたのですが、CPUの仕様上使えるアプリケーションが少ない、という情報があったのでやめました。

さて、こういったものは、実際に動かしてみないことには十分な評価はできず、CADデータを表示できるアプリは結構探しましたが、結果的にArchitecture3D.co.ukというところが公開しているSTL File Viewer(Free)というものを入れてあります。生のRhinocerosデータは表示できないのですが、造型等に使うSTL形式のデータを表示でき、結構滑らかに動きます。少なくとも、自分の目的としてはこれだけ動けば十分、というレベルです。写真に写っているのは、テストで読み込んだ5本爪立爪リングのデータです。

DropBoxも使えるので、メインのPCとのデータ受け渡しも問題ありません。
その外、Skypeはビデオ通信も可能です。
あとはradikoが対応して欲しいのですが…そうすれば仕事しながらJ-WAVEが聞ける…

こうなってくると、やはり外でも通信できた方が便利なので、EMOBILEを復活しようか考えているところです。
posted by T.Arai at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2012年03月16日

ジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をする - CADの持つ機能に依存しない

さて、昨日はおバカネタを掲載してしまったので、今日はまじめなお話。
久々のCADのお話です。

以前「ジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をする - 出来合いの道具に頼っては良い形はできない」という記事を掲載しましたが、今回はより具体的な例でこのことを考えてみます。

リング
デザイナーさんから、この様なデザイン画が渡されたとします。デザインのポイントは、
1)リングは太い/細い、厚い/薄いを全周に亘って繰り返す。
2)繰り返しは均等に7回。
3)幅が広くなっているところは厚みが薄くなり、幅が狭くなっているところは厚みが厚くなる。
4)内甲丸を付けるが、指当りの外側はエッジを付ける。
5)リング内側から指当りの外側のエッジまでの高さは均一にする。
等です。

まず考えなくてはならないのは、これはCADでデータを作る合理性があるかどうかですが、これについては均等な分割、均等な繰り返しのデザインですから、申し分ないでしょう。
但し、これが特定のお客様向けのオーダー品でない場合には、データ作成上重要な条件が付きます。
このデザインは均等な繰り返しである為、1つ原型を作ってゴム型を取り、ワックスパターンのサイズを調整して多サイズ展開する、ということができません。つまり、ある程度は端折るとしても、複数のサイズ違いのデータを作る必要があります。ということは、容易に編集、修正ができるデータの作り方をしなくてはならないということなのです。

CADの教則本には、腕の断面形状をリング状に並べてスイープさせる、という例がよく出ていますが、それを必要なサイズ分作るというのは非常に面倒な作業ですよね。しかも後で説明しますが、スイープは案外思い通りになりません。希望形状にならないから断面を増やして…なんてやっていると、どつぼにはまります。しかも後からデザイナーに「ちょっとだけ形を変えたいんだけど…」なんていわれた日には、地道な苦労が水の泡です。

僕は、苦労は経験の一つであり必要なことだと考えていますが、単調に繰り返す苦労は決して有意義とはいえません。
上記は明らかに「しなくても良い苦労」です。

CADの教則本は「とにかく造型可能なデータが作れる様になる」ことを目的にして書かれています。スタートラインに立つ為には必要なことですから、こういった本や内容を否定するつもりはありません。何かしらの「形になる」ということは、とても大切な経験になります。
しかし、それはベストではありません。その方法を採り続ければ仕事ができるかといえば、そうではないのです。

リング
リング
さて、最初にすべきことは、そのデザインが「どの様な構造を持っているのか」を見抜くことです。考えもせずにデータ作りを始めても上手くは行きません。
このデザインは「7回の繰り返し」なのですから、その1単位の形さえ綺麗に作れれば、あとはコピーで良い訳です。そして、真っ直ぐに作って円形にフロー変換する、という方法を採れば、編集も更にし易くなります。

ではこの形をどう作りますか?
ここまでは判っても、これがうまくできない、とつまずく人は多いと思います。何故なら、安易なスイープで作ろうとしても、そうそう狙った形にはならないからです。
例えば、内側(下側)と外側(上側)の線をガイドラインにして、断面の2レールスイープをしたとします。波の高低に応じて、指当りの外側のエッジまで上下に波打ってしまうでしょう。更に、幅方向の波が綺麗になるかどうかが判りません。
では、両側の輪郭をガイドラインにして断面の2レールスイープをしたらどうでしょうか。今度は上下のコントロールが上手く利きません。
つまり、2レールスイープは片方を立てると片方が立たず、なのです。もし厚み方向、幅方向の両方の「波の形」がデザイナーから指定されていたとしたら、この方法は全く使えないと考えた方が良いでしょう。
勿論断面の指定箇所を増やせばその限りではありませんが、それでは先に書いた「しなくても良い苦労」に逆戻りですよね。

リング
これは、以下に示す方法で作った腕を切り口から見たところです。上下、左右に波を打ちつつも、指当りの外側のエッジは高さ一定を完全に維持していますよね。さて、どうすれば良いのでしょうか。

リング
基本となるのは、押さえたい箇所の骨組みをしっかりと作ることです。泥臭い作業ですが、これ以外にはないと考えています。自動的に色々とやってくれる機能は便利ですが、所詮は機械のすること、人間の意図を汲み取って図形を作ってくれることはないのです。
この場合では、
6)内側(下側)と外側(上側)を示す線
7)両側を示す線
8)指当りを含めた、ポイントとなる箇所の断面
です。

リング
まず、両側を示す線をガイドラインにして、2レールスイープで内側の面を作ります。このとき「高さを維持」をチェックすると、幅の変化に高さ方向の変化が追随してしまうことがありません。

リング
次に、片側の立ち上がりを作ります。

リング
そして、立ち上がりの上辺と外側(上側)を示す線をガイドラインにして、2レールスイープで外側の面を作ります。

リング
必要箇所をミラーでコピーすれば出来上がりです。

ポイントは、「寸法を維持しなくてはならない部分」と「寸法を滑らかに変化させたい部分」が図形内に混在している場合には、それらを分離して形を作っていく、ということです。先に書いた「どの様な構造を持っているのか」を見抜くとは、こういうことなのです。

この様なデータの作り方をしておけば、形状の修正も簡単ですね。フロー変形させるターゲットライン(=環形)の大きさを変えれば、リングサイズも自由自在です。一旦別な変形を加えてやればウェーブラインにすることも可能です。

リング
このレンダリングは、基本的には以上の方法でデータを作ったものですが、それ以外にもより面を滑らかにする編集を加えていたり、外観を良くする為に制御点を調整していたりします。

画が描ければデザインができるという訳ではありませんね。
商品知識を持っていれば接客販売ができるという訳ではありませんね。
同様に、CADが使えればデータが作れるという訳ではありません。
手加工する職人が独自のノウハウやセンスを持っているのと同様に、CADにはCADのノウハウやセンスが必要なのです。

「CADの機能を数多く知っているが、それらの機能でできる形しか作れない人」と「ベタで泥臭い編集をしつつも、デザイナーの意図する形を自在に作れる人」、どちらがアテになるかは明白ですよね。
posted by T.Arai at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2012年03月10日

CADの応用 指に着けたイメージ

指に着けたイメージ
着けたイメージ
指に着けたところ
デザインをされている方は、お客様から「指に着けたらどんな感じかを見てみたい」と要望されることはありませんか?

そんなご要望にお応えする一つの案です。

今のところあまり良い質感とはいえませんが、実際に指に着けるとどんな感じなのか、指環単体の画を見るよりもイメージし易いと思います。今後並行して実写画像への合成も試したいと考えています。
posted by T.Arai at 01:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2011年09月11日

ジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をする - 自由曲線に騙されるな

今回は曲線のお話です。

曲線を引く場面は数多くあります。そもそもリングの「環」という形自体、曲線がベースになっていますよね。直線要素だけでは絶対にリングは作れません。
さてその曲線ですが、Rhinocerosでは「自由曲線(InterpCrv)」を簡単に扱える為、これを多用している人も多いと思います。そして、線を滑らかにする為に多量の制御点を配置していたりします。

しかし、実は曲線は制御点が少ない程滑らかで綺麗なのです。必死に制御点を増やして滑らかな線を作ろうとしている人は、逆にどんどん汚くしていると思って下さい。

2本の線を結ぶ
上から1)ブレンドで結んだ場合、2)2線の端点を直線で結び、その両端をそれぞれマッチングさせた場合、3)自由曲線で「それなり」に作った場合
ここでは「ずれた2本の直線を滑らかに結ぶ」を例に、曲線の作り方と制御点の関係を見てみましょう。
2本の線を滑らかに結ぶにはブレンド(Blend)というコマンドを使うのが一般的かと思います。しかしこのブレンドという機能によって作られる曲線は実はあまり綺麗とはいえません。できた曲線を並べてみましょう。…何だかギクシャクしていて、全体として綺麗な曲線とはいえませんね。因みに、1回のブレンドで制御点は6つ生じます。
「直線(Line)を引き両端をマッチング(Match)」させた曲線は、それ自体も綺麗な変化をしていますが、並べても非常に綺麗にまとまります。この方法では制御点は4つ生じます。
自由曲線でそれっぽく作った曲線は、それなりに綺麗に見えますね。制御点の数は指定した通過点の数に従います。

2本の線を結ぶ
さてこれらの曲線がどうなっているのか、曲率表示で解析してみましょう。
ブレンドで作った曲線は、曲率ゼロから始まって曲率が高くなり、急激に反転します。
直線のマッチングで作った曲線は、スタート段階で曲率を持っていて、緩やかに変化します。
自由曲線はもうメタメタですね(笑)。「必死に制御点を増やして滑らかな線を作ろうとしている人は、逆にどんどん汚くしている」ということが分って頂けるのではないでしょうか。

「別に綺麗に『見え』さえすれば、構造なんかどうでも良いではないか」と思う人もいるかも知れませんが、どうでも良くありません。曲線を元に面を作ったり、或いは変形させたりする場合には、この「構造」が大きな意味を持ってきます。
まず、複雑なものは綺麗に形状を発展させていくことができません。変な折れ目や曲がりが生じ易くなるのですね。更に、計算エラーによる「閉じられない図形」もでき易くなります。そして何よりデータ量が多くなり、ファイルが肥大化します。
もしデザイン上、線や面の複雑さが必要になったら、それはそのときに構造を増やせば良いだけです。しかし逆に、複雑になってしまったものをシンプルにするのは容易なことではありません。

どの様な機能を使ってどの様な曲線を作るかは、それこそ目的次第です。僕はブレンドもマッチングも自由曲線も全て使います。これでなくてはいけない、ということはありません。ただ一つはっきりいえるのは、多数の制御点による曲線が効果を表すのは、でこぼことした有機的なデザイン等「大きな滑らかさ」が不要な場面に限られるということです。

ジュエリーのデザインですから綺麗に「見える」ことは何より重要ですが、構造的な綺麗さも意識しないと、CADを使うメリットはどんどん失われていきます。
Rhinocerosで多数の制御点を必死に動かして形を作ろうとする位なら、メッシュモデラーを使うか、或いは直接ワックスを削った方がマシですね。


ジュエリーCADのマニュアル本には、こういったことは殆ど書かれていません。むしろ逆に「自由曲線を駆使しましょう」という内容の方が多いです。何故かといえば、使う方も説明する方もその方が簡単だからです。
しかし、特にデザイナーが別にいる場合(デザイナーが描いたデザイン画を元にデータを作るということ)には、仕事として成り立たせる「時間」も含めると、この自由曲線による方法は殆ど通用しません。
posted by T.Arai at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2011年09月09日

「やらない」を「できない」と思われると腹が立つね

僕はCADでデータを作るときに、かなり特殊な方法を採っています。少なくとも、いわゆる(宝飾CADの)マニュアル本には載っていない方法です。
「ひねくれたいから」ではありません。きちんとした理由があります。

CADデータ作成の依頼を請ける場合、原則として僕はデザイナーではありません。デザインは外から持ち込まれるものなのです。デザイン画がラフ過ぎて困ることもままありますが、基本的に「誰かが作ったイメージを立体化する」のが仕事です。ですから、叩き台の形状を作ってから修正や調整が出るのは当たり前のことです。ということは、修正や調整を行い易いデータの作り方をする必要がある訳です。修正がある度に一からデータを作り直していたのでは、仕事になりません。
簡単にいえば、真っ直ぐでシンプルな形状を一旦作り、それを変形させてリングにする、という方法です。

先日知り合いの職人さんが、別な職人さんにその様なデータ作成の方法を話したところ、聞いた職人さんは「それは直接リングの形を作ることができないから、そういうやり方をしているんでしょ」といったそうです。

…ばかにするな。

僕はこれでも数年来「人から出されたデザインをCADで立体化する」という仕事をしており、上で書いた様な理由から行き着いたのが今の方法です。直接リングの形を作っていくという方法に対して、実際にその方法を試した上で「合理的でない」という結論を出しているから採らないのです。

そもそも何故その様な方法を採っているのかを考えもせずに先の様なことをいう人は、どれ程職人歴が長かろうとも僕は人として尊敬しません。自分と違う方法や考え方を聞いたときに「何故」とも思わず、「成る程」ともいえない人は、何事においても所詮その程度の人ということですから。
posted by T.Arai at 02:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2011年08月25日

ジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をする - 出来合いの道具に頼っては良い形はできない

今回は「出来合いの道具に頼っては良い形はできない」というお話です。

前回の例では「幅3.0mm、厚み2.0mm、リングサイズ#10.0の平打ちリング」を作りました。しかしこれを「実作」に当て嵌めてみると、腕下が2.0mmというのは厚みがあり過ぎて付け心地が非常に悪いリングとなります。
そこでリングの依頼者が「(極端な例ですが)腕下半分の厚みを1.5mmに、トップの厚みを3.0mmにして下さい」といってきたとします。

さて、どうしますか。

単純には「外側の輪郭を楕円にすれば良いのでは?」と思うでしょう。
しかし実際に描いてみると…
平打ちリング
綺麗に厚みを変えたいのですが…
一番左が「楕円」で外側の輪郭を作ったものです。
何か形が変ですよね。
実はこの方法では赤丸で囲んだ辺りの厚みが一番薄くなってしまうのです。腕下が一番薄くなるのは自然ですが、腕下からずれた部分が薄いというのは、造形的に奇妙ですし、何より格好良くありません。違和感は実作にすると尚更はっきりと感じられる様になります。こんなものを「原型です」といって納品したら、多分二度と仕事は来ません。
何故この様なことが起こるのでしょうか。
それは、単純に楕円を重ねただけでは、内側の円との距離が全くコントロールされていない為です。内側の円と外側の楕円は完全に別個な図形。収まりが良い訳がないのです。

そこで次に、上半分を楕円、下半分を円という形にしてみましょう。これが真ん中の図ですが、やはり何か妙です。理由は、トップが尖り過ぎている為です。玉子の尖った方みたいなのですね。

そして一番右が、全く別な作り方をしたものです。自然なラインになっています。これであれば、立体にしても綺麗にまとまるでしょう。
図形の作り方は別の機会に説明します。


「あまりにも微妙な」と感じられるかも知れませんが、忘れてならないのはリングは装飾品であり、美しかったり格好良かったりしなくてはならない、ということです。「CADで簡単に作れるのがこの形だから、これでいいや」とやっていては、決して良いものは作れませんし、何より昔ながらの職人さんに「だからCADなんかダメなんだよ」といわれるのは目に見えています。新しい道具を使って良いものが作れないとしたら、その道具を使う意味はありません。

「この形で本当に良いのか」
「綺麗に見えるか」
といった、形を見るセンスは、デザインに関わる仕事をする上では必須です。
その為には日頃から身の周りのものを良く観察し、素敵に見えるものは「何故素敵なのか」を考える癖を付けましょう。
posted by T.Arai at 15:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2011年08月23日

ジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をする - リングの形と『形を見る力』

「あれを知らなくてはだめ」「これができなくてはだめ」ばかりいって壁を高くする一方では面白くありませんから、少しずつ具体例を見ながら話を進めましょう。
今回は「リングの形と『形を見る力』」です。

平打ちリング
シンプルな平打ちリングです
平打ちリングの解釈
右から1)2)3)です
味も素っ気もありませんが、幅3.0mm、厚み2.0mm、リングサイズ#10.0の平打ちリングを作ることを考えてみます。上が完成状態の画像です。
皆さんはこのリングをどの様な形と捉えますか。
1)厚み3.0mm、直径20.0mm(※1)の円盤に直径16.0mmの穴を開けたもの。
2)幅3.0mm、高さ2.0mmの長方形断面を、直径16.0mmの円に沿って外側を滑らせたもの。
3)幅3.0mm、高さ2.0mm、長さ50.2mm(※2)の直方体を円形に丸めたもの。
人によって見方は色々だと思いますが、全て正解です。「こう見なくてはならない」という決まりはありません。そして、CADを使うと下の画像の様にそれぞれの方法でリングを作ることができます。CADの入門書では、恐らく1)2)辺りの作り方を示して「この様に作ります」と説明していると思います。

さて、実際に「どの方法でも良いです」といわれると、結局どれを選択すべきか分らない、となってしまいますね。
外観的には同じ形になりますが、何か違いはあるのでしょうか。
実はCAD上の図形としては大きな違いがあるのですが、最初は「何が違うのか」に頭を悩ませず、「様々な方法で同じ形を作る」ということに挑戦しましょう。使える選択肢を増やしておくのです。


この様な場面で必要とされるのは「ものの形を解釈する力」です。これから作ろうとする形はどの様にできているのかを見る力ですね。どの様にできているかをCAD上でなぞれば、その形を作り上げることができます。実際の加工と対応させて考えてみると、より感覚的に分るかも知れません。
1)はプレス打ち抜き、又は切り出しですよね。
2)は芯金の上にワックスを盛り付けていくイメージでしょうか。
3)は角に引いた金属棒を心金に沿って丸める感じです。

※1)リングサイズ#10.0は内径φ16.0mmです。厚み2.0mmが全周に乗りますから、16.0mm+2.0mm*2=20.0mmとなります。CADを扱う上で計算は必須です。
※2)リングサイズ#10.0=内径φ16.0mmの円の周長は、16.0mm*3.14=50.2mmです。ジュエリーCADには様々な「テンプレート」が用意されていますが、テンプレートだけを当てにしていると、こういった計算ができません。
posted by T.Arai at 16:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2011年08月22日

ジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をする - 幾何の知識

今回採り上げるのは「幾何の知識」です。

高校数学に「幾何」という分野があったことを覚えていますか。恐らく微分積分を含む「基礎解析」よりも馴染み易いと感じた方が多いと思います。幾何は訳の分からない数字の魔術ではなく、図形として感覚的に捉えられるものだからです。

幾何の教科書を見ると「合同」「相似」「点対称」「線対称」といった図形に関する法則や、垂直線の引き方、平行線の引き方といった図形の作り方、又それらを作図することで判ること等が載っています。
CADは、こういった幾何的な作図作業をコンピュータがやってくれるものと考えれば良いでしょう。
では何故「幾何の知識」が必要なのでしょうか。

CADは万能ではありません。用意されている機能だけでは作図できない、つまり形を作れない場合が出てくるのです。又、わざわざCADの機能を探すよりも「知っている」場合の方が遙かに早いことがあります。
例えば「接していない2つの球」があるとします。この2つの球を最短で結ぶ線を引きたい場合にどうしますか。「2つの立体を最短で結ぶ線を引く機能」を一所懸命探しますか。あちこちのメニューを開いて、ヘルプを読んで… そんなことをしていたら、それだけで数時間を費やすことになりかねません。
「球の中心と中心を結ぶ線を引く」
これが解答です。
幾何の知識の有無が、こういう些細な場面で大差を生むのです。

幾何の知識は又、図形を知覚する感覚の土台となります。
以前僕がCAD求人で応募してきた人を試験したときのことです。その人は「ジュエリーCADを学べる」ことを売りにした専門学校に通っていて、授業の課題もそこそここなしていました。
しかし、「ウェーヴのリングを作る」という非常にシンプルな試験課題をできませんでした。CADの操作は覚えていても、図形を知覚する能力が全くなかったのです。


CADは表現する為の道具に過ぎません。勝手に形を作ってくれることはありませんし、オペレータが理解できない形を表現してくれることもないのです。

Rhinocerosとは全く異なるタイプのCADである3DESIGNは、あまり作図という概念に縛られておらず、それ故に「初心者にも感覚的に使える」と販促されています。しかし、自分が使ってみた感想は「やはり平面=2Dであるコンピュータの画面で立体=3Dの図形を直接扱うのは無理がある」「作れる形が安直」でした。
本当の意味で自由な形状=デザインを作りたければ、安易に「操作が簡単」に流れるべきではありませんし、基礎固めは不可欠です。
posted by T.Arai at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2011年08月14日

ジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をする - ジュエリーの一般知識

前回書いてから半年以上経ってしまいましたね。
月日の経つのは早いもので…。

さて、「ジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をする」為には何を身に付けることが必要となるのでしょうか。今回採り上げるのは「ジュエリーの一般知識」です。


確実に必要とされるのは、ジュエリーの一般知識です。例えば「婚約指環」と「結婚指輪」の違いが分かりますか? 「ジュエリーの一般知識」は、ジュエリー関連の仕事をする際にコミュニケーションを成り立たせる為の土台となるものです。どれだけCADを手際良く操作できても「指馴染みってどこですか?」「内甲丸って何ですか?」では話になりません。
こういった一般的な知識を身に付ける為には、ジュエリーコーディネーターの資格を取ってしまうのが良いでしょう。資格を取る為にはかなりしっかりとしたテキストを読んで覚えなくてはなりません。資格というものは、それを取った結果よりも、その過程が大切なのです。
「CADを使った仕事をしたいのに、何でコーディネーターの資格なんか…」と思ってしまったあなたは、残念ながらもうその時点でこの仕事には就けないと思った方が良いです。やりたいことだけをやって食って行けるほど社会は甘くありません。

更により突っ込んだ知識を得る為には、職種を選ばずにジュエリー業界の何らかの仕事に「就いてしまう」ことをお勧めします。接客、販売、品質管理、流通、何でも良いです。とにかく日々ジュエリーに接する環境に身を置き、それらを観察するのです。そして、仕事に関わる他の人と会話をするのです。
専門学校でも、卒業が近付くと求人を当ることになります。しかしながら制作、ましてやCADの仕事は割合として少なく、事務や接客販売の方が相対的に多いのが実情です。「制作以外やりたくない」といって結局この業界で就職できず、という人も多くいます。
そうなる位であれば、どんな職種であろうと「業界の仕事に就く」ことを優先させるべきです。何故なら就職後でも、ある程度の方向転換は可能だからです。わがままをいってスタートラインに立たないのと、位置が多少ずれていてもスタートラインに立てているのでは、全く違いますよね。走りながらでも向きは変えられますから。
因みに、僕は元々前の会社で「CADの専任」として雇われました。そして、時間をかけて社内で技術を売り込み、石留と彫刻も担当する様になったのです。
自身の職種の拡大や方向転換は、自助努力次第です。

そして、何より経験することが知識を関連付けしていきます。
経験は、知識を知恵に昇華させるのです。
posted by T.Arai at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2010年12月15日

Rhinoceros 4.0

Rhinoceros 4.0を正規のルートでできるだけ安く手に入れたいので、何かご存知の方、是非ご一報下さい。
(クラック品等は考えていません)
posted by T.Arai at 17:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2010年12月06日

ジュエリーCADを覚えれば、ジュエリー制作の仕事に就ける?

これから少しずつ、ジュエリーCADについて書いていこうと思います。

僕が普段使っているのはRhinocerosです。ですから、記事の内容もRhinocerosがベースになります。J-CAD 匠とJewelCADは使ったことがないので判りません。
3DESIGNも広がり始めている様ですが、僕の感覚ではRhinocerosの方が本当の意味で自由な造型ができると思います。3DESIGNが広がりつつある理由は、一言でいえば「3DESIGNの方がRhinocerosよりも感覚的に取っ付き易い」です。しかしその「取っ付き易さ」故の壁があるのも確かで、そういったことについても、追々書いていきます。


「誰でも簡単に覚えられる」
「身に付ければジュエリーデザインや原型制作の仕事に携われる」

講座や専門学校の案内でこの様に紹介されることの多いジュエリーCADですが、これは「生徒を多く集めるための、無責任な口上」に過ぎません。
こういった文句を真に受けてしまい、「ジュエリーCADを覚えれば、ジュエリー制作の仕事に就けますか?」という質問を受けることが度々あります。その答えは、残念ながら「100%不可能」です。何故なら、「ジュエリーに関する一般的な知識」が不足しているからです。

例えば「中石は3分台で石座は6本立爪、両脇に30パーのメレを置く。真上ではなく少し外に向けて。腕はS字ウェーヴで、腕下の厚みは1.7」といわれたときに、意味が判り、その形状をイメージできますか?
もし伝わらないとしたら、この仕事の依頼者は一つ一つ事細かに説明をしなくてはならないことになります。しかし、そんな手間を掛ける位であれば、別な「伝わる人」に頼みますよね。わざわざ時間を浪費し、失敗の危険の高い選択はしません。

CADだけを学んでも仕事ができない。これが現実なのです。

本来は、業界が新人を育て、新しい展開を広げていくべきだと思います。しかし、残念なことに元々そういう意識に乏しい業界です。特に職人には「自分さえ食べて行ければ良い」という人が多く、非常に閉鎖的です。社会性に欠けるといっても良いでしょう(人と接するのが苦手だから職人になったという人も多い)。そういう人は、自分の技術を他の人に伝え発展させる、或いは「連携して全体で利益を生み出す」ということには無関心です。むしろ逆に、自分の技術を他の人に伝えることで自分の優位性が失われることを嫌う、新しい技術の導入により自分が「過去のもの」になることを阻止する、自分が新しいことを覚えるのが嫌だ、といった利己的な人の方が多いといっても過言ではないかも知れません(勿論そういった人ばかりではありませんし、長引く不況で業界的に人を育てるだけのゆとりがないのも否定できませんが)。
更に、
「ジュエリー業界にはコンピュータ嫌いが多く、CAD(=コンピュータ)を信頼していない」
「ジュエリー業界にはコンピュータが苦手な人が多く、CAD(=コンピュータ)を使いこなせない」
「コンピュータが得意な人は、ジュエリーに詳しくない」
「コンピュータが得意な人は、センスが悪い」
結果として、未だ「ジュエリー業界とジュエリーCADの間には高い壁があり、業界内で新人を育てられない」というのも又現実なのです。

もしジュエリーCADを使ってジュエリー業界で仕事をしたければ、CAD以外に実に多くのこと、ジュエリーの一般知識からキャスト、石留めといった専門知識まで幅広く学ばなくてはなりません。
このことは最初に知っておいて下さい。
posted by T.Arai at 01:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD