2019年01月09日

赤い珠を抱え込んだウロボロスのペンダント

ウロボロスのペンダント
お客様に大変お待ち頂いたオーダー品、「ウロボロスのペンダントトップ」です。

お客様のご要望は2つ。
1)ウロボロスが珠を抱え込むペンダントトップ。
2)珠は赤系の天然石。

まずは石探しから始めましたが、形状的に「どうやって留めるか」も考えながら探さなくてはなりません。結果的に「天然石ビーズ」をある方法で留めました。接着ではありません。

さてその天然石ビーズ、とても色の綺麗な「ヘソナイトガーネット」です。
そして、お待ち頂いたお詫びに、眼にはダイヤモンドメレを留めました。

原型は、久しぶりにハードワックスの削り出しで、型は取っていませんので、完全な一点ものです。
お客様はこのデザインを10年以上探していて見付からなかったそうで、結果的に私がオーダー品として制作を請け負った訳ですけれども、お届け後に大変喜んで頂けた旨メールを戴きました。嬉しい限りです。
N様、どうもありがとうございます。



ラフ画
さて今回の制作、実はデザイン自体が当初明確にはなっていませんでした。
そこで何パターンかスケッチを描き、絞り込みました。

CADでより明確化
元々CAD/CAMを用いる予定はありませんでしたけれども、立体にした際のうねり具合や全体の大きさのバランスを考える為、CADでラフデータを起こしました。これで色々な向きから見られます。

ワックス原型
最終的には紫ワックスの手削りで原型を起こしました。バチカンは板を曲げています。
posted by 荒井技巧 at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー 創作

2019年01月04日

「風の谷のナウシカ」とカブトガニ

― その者 蒼き衣を纏いて 金色の野に降り立つべし

今日TVで「風の谷のナウシカ」を放送してましたね。僕が中学生の時ですから、今から35年位前の作品です(調べたら1984年公開だそうです)。
今見ても古臭さを感じない、名作だと思います。

さてその作中、姫様が囮にされた子供の王蟲を救う場面で、赤い服を着ていたのが、王蟲の群れの前に降ろされるときには青い服になっています。これは傷付いた王蟲から流れ出る体液に染まったもの、という解釈で良いのだと思いますが、そこではたと気付きました。
もしかしたら宮崎駿監督は、「カブトガニの血液」の話を見聞きしたのではないかと。

カブトガニの血液は青い。
それは細菌汚染の検査に使う為に採取され、採血過程で30%のカブトガニが命を落とすそうです。
(現在では代替品の開発が進み、カブトガニからの採血は段階的に廃止されるとのことです)

王蟲は外観的にグソクムシ等の節足動物がモチーフだと思いますが、カブトガニもその仲間です。
細かくいえば
グソクムシ…節足動物門 甲殻亜門 軟甲網 等脚目
カブトガニ…節足動物門 鋏角亜門 節口網 カブトガニ目
と全然違うのですが、まぁ学者でもなければそこまでは追及しないでしょう。

で、もしかしたら「カブトガニの血液は青い→王蟲の血液(体液)も青い」と考えたのではないかと思ったのですね。

聞いた訳ではありませんから、あくまでも僕の妄想ではありますが…


カブトガニの血液が青いのは、ヘモグロビンに含まれる鉄の代わりに銅を利用している為だそうです。
posted by 荒井技巧 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年01月01日

明けましておめでとうございます。

猪目

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

中村八幡宮
大吉
初詣
今日は久しぶりにゆっくりと。
地元の中村八幡さんに初詣に行ってまいりました。
扇子おみくじは大吉。皆様にお裾分けです(笑)


さて、「猪とハート?」と疑問に思われた方も多いでしょう。
ここで【まめちしき】です。

ハートの形は、日本では昔から「猪目(いのめ)」という名前で用いられてきました。
ネットで調べると「猪の目の形がハートだから」という記述が多数見られますが、どうやらそれは誤りの様です。
由来は、「懸魚(けぎょ)」と呼ばれる、屋根の両端につける破風板の一部の飾り板にあります。種類にもよりますが、その一部に「ハート型の彫文様」があり、懸魚全体の逆三角形を「正面から見たイノシシの顔」に見立てたときに、このハート形が眼の位置にある為に「猪目」と呼ばれる様になったそうです。
posted by 荒井技巧 at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年12月30日

2018年、暮れ。

本年もありがとうございます

大変久しぶりの更新です。

11月の初めから強烈な頭痛に苦しめられておりました。
夜寝ていて、「頭が痛く」て目が覚めるのですよ…こんなことは今迄にありませんでした。
頭痛に加えて眼の奥の痛みと見え具合の違和感、肩甲骨内側の痛み…と、これ全て左側だけ。場所が場所だけにCTとMRIを撮り、結果的に脳腫瘍等がないことが分かったのは幸いでした。原因は、頚椎の間から神経の束が出ているのですけれども、そこが狭くて神経を圧迫し、炎症を起こしていることでした。
神経ブロック注射という、以前腰を痛めた際にも使った強い薬を注射し、12月後半からはある程度落ち着いてきました。
しかし、首の横から頚椎の直近まで針を刺す訳で、しかも「痛みの根幹がここ!」という様なところをグリグリされるのですから、度々やりたいものではありませんです、ハイ…。

さて、あと一日で2018年も幕を下ろします。
本年も大変にありがとうございます。
独立した直後は「果たして仕事を出してもらえるのだろうか」という不安で一杯だった訳ですけれども、幸いなことに仕上がりをお待ち頂く位に仕事が来る様になりました。感謝しかありません。
来年はもう少し自分の制作時間を確保したいところではありますが、お客様あってのお仕事ですから、ご依頼頂く仕事には引き続き精いっぱい取り組みたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
posted by 荒井技巧 at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月19日

πとeのピアス、数学史上最も美しい等式

πとeのピアス
正面から見るとπ、向きを変えるとe。
全く別に定義された、円周率のπ、ネイピア数(自然対数の底)e、虚数単位i。
これらが、オイラーの等式「e^iπ=-1」で結び付けられました。
「数学史上最も美しい等式」と呼ばれます。

この内のπとeを一つのピアスにしてみました。
正面から見るとπ、向きを変えるとe。形も綺麗にまとまりましたね。
現在実作を進めています。

尚、一回り大きくしたペンダントトップも並行して進めていますが、こちらはバチカンのデザインが虚数単位のiです。
posted by 荒井技巧 at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー 創作

ドラバイトはコーヒーの色

ドラバイトの指環
ドラバイトはコーヒーの色
先日のゴム型を用いたSV枠を使って、ドラバイトの指環を創ってみました。
ウラングラスの指環のアレンジで、一回り小さいオーバルに対応した4本爪の指環です。この枠も、サイドビューがばっちり見えますよ。

ドラバイトとは聞き慣れない名前ですが、褐色のトルマリンです。褐色で透明度が低かったり照りが悪かったりすると、どうにも冴えない感じになってしまいますが、このルースは透明度が高く、とても澄んだ褐色です。

誰かがブログで「コーヒーの色」と例えていましたが、まさに深煎りではないコーヒーの感じですね。
日々コーヒーが欠かせない僕にとっては、とても親近感のある指環になりました。

※現品販売可です。お問い合わせください。
posted by 荒井技巧 at 12:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー 創作

2018年08月29日

樹脂型とゴム型、鋳造品

樹脂型とゴム型、鋳造品
樹脂型とゴム型、鋳造品
少し前に「樹脂型から直接焼きゴム型を取る」という記事を掲載しました。
これについては「この単純な形だからできたんでしょう、これで『取れる』と断言はできないよ」という声を戴きまして、確かに自分でもそうだと考えていました。

そこで今回「さすがにこの形は無理だろうという」形で試してみました。
無理だろうという理由は主に、
1)間隔の開いた細い腕で成り立っている。
2)先端補強のない爪がある。
です。
まぁ、これでゴム型が取れればそこそこ色々な形に対応できるかな、と。
とはいえ、そういう形ですから期待半分、捨て半分といったところでしたが…

造型出力樹脂から直接の焼きゴム型、取れちゃいました。
最近の造型樹脂はすごいなあ。
この樹脂、鋳造可能樹脂とも通常の模型用樹脂とも異なる「高強度樹脂」で、一応「ゴム型が取れる」という触れ込みではあったのですが、こういうものは実際に試してみないことには何ともいえませんので。

因みに以前から「通常の樹脂造型出力」の型を取る為の「低温焼成シリコンゴム」は存在していました。これは「温度を上げると軟化して変形し易くなる造型樹脂の型を取る為に、100℃以下の低温で焼成できるシリコンゴム」です。
しかし、今回はその使用を指定していません。通常の地金原型の型を取る為のゴムです。

さて、今まで樹脂型からゴム型を取りたければ、液ゴムを使わざるを得ませんでした。この液ゴム、かなり硬く劣化が早いという話を聞きます。これについては今一つ実感がないのですけれども、それよりも「硬化に時間が掛かる為、焼きゴムに比べて納期が長い」ことと、「価格が高い」ことがネックでした。価格は通常のシリコンゴムの倍位します。
ですから、液ゴムを使わなくても良いというのは大変にありがたい。

今後も活用していきたいと思います。
posted by 荒井技巧 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ジュエリー CAD

2018年08月23日

角石の覆輪留

タガネで内側を削いでいるところ
石座の完成
石を座らせたところ
覆輪を倒したところ
覆輪を整形したところ
角石の覆輪留
角石の覆輪留です。

お付き合いのある作家さん、業者さんはご存知の通り、僕はいつも「キャスト上がりで石が座ってしまう石座では駄目」と口うるさくいっています。

石が座ってしまうということは、微調整前から覆輪に余裕があるということで、石留前の仕上げをしたらもっと余裕ができてしまいます。更に石座を整えたら、もっともっと余裕ができてしまいます。
余裕となってしまった部分は、離れたところから覆輪を寄せなくてはならず、つまりは必要以上の寸法の覆輪になってしまいます。
もちろんデザインとして覆輪を広く見せるというのもありましょうから、100%それではいけない、ということではないのですけれども。

僕の考える理想の石座は、石留前に「石が上に乗る程度」の状態です。
しかし角石の座となると、調整にカッターバーの様な回転工具は使えません。直線も角も出せない為です。
そこでどうするかというと、タガネで内側を僅かずつ削ぎ取って、場面寸法、深さ、傾き全て石に合わせ込みます。手間は掛かりますが、これが一番綺麗にできます。
更に、その下の貫通穴の壁の鋳肌も同様に削ぎ取ります。

写真は上から順に、
1)タガネで内側を削いでいるところ…大工さんの「ノミと金槌」と同じ要領で、「垂直」に彫り込みます。
2)石座の完成…内側もバリを残したままでは綺麗ではありませんので、整えます。
3)石を座らせたところ…この状態でほとんど隙間がなく石が収まっているのが分かると思います。
4)覆輪を倒したところ…「石を傷付けない」様に「石を動かない様にする」ことが目的ですから、打つ力の強弱が出ます。ここで打って整えようとすると石を割ることになります。
5)覆輪を整形したところ…ヤスリできちんと整形すると、ここまですっきりします。

posted by 荒井技巧 at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 制作の周辺

2018年07月31日

さようなら、アイコ(追記あり)


さようなら、アイコ
さようなら、アイコ
今年の夏は暑過ぎる。

庭のアイコが、暑さにやられて枯れてしまいました…
東日本震災のあった年から毎年夏にはトマトを植えていますが、こんなことは初めてです。
最初は勢い良く育ってくれてたのに。

枯れてしまったので、付いている小さく青い実はこれ以上育ちません。

なので、ピクルスを作って戴きましょう…

さようなら、アイコ。
そして、また来年!続きを読む
posted by 荒井技巧 at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

思いがけないところで役立った蔵書

五體字鑑
五體字鑑
五體字鑑
先日某SNSに「明日の仕事やりたくない〜」と泣き言を書きました。

加工そのものが嫌な訳ではなく、極端に難易度の高い加工ということでもなく。
何故か。

「形見の印台の印面修復」

重い。重過ぎる…


私のところに来たのはお店経由ですけれども、お客様は形見の印台を「印」として使える様にしたい、とのことらしいのです。
預かった現品を見ると、見事に印面が潰れて文字が殆ど形を成していません。
お店からは「多分『行書』が近いと思う」といわれていましたが、とりあえずは現状把握ということで捺してみました。

…どうも行書っぽくない。
名前には「澤」の字が使われていましたが、行書とは全く形が違って見えるのです。
ということは、行書で修復してしまったら、お客様にとっては全く「修復」になりませんね。困りました。

そこではたと、「もしかして崩し字?」と思い、蔵書の一つ「五體字鑑」を見てみると、見事印面の形と一致する「澤」の形がありました!


僕はお世辞にも字が上手いとはいえませんが、グラフィックの一つとして「書」って好きなんですよ。なので、古本とかでこういった本を見付けるとつい買ってしまいます。
それが思いがけぬところで役に立ちました。

お客様自身も、もしかすると潰れた印面しか見ておらず、「澤」の形と全然違う印面で渡されたら訝しむかと思い、「お客様にお渡しください」と該当ページのコピーを取ってお店の方に渡したところ、「よくこんな資料持ってたね!」と大笑いしながら喜んで頂けました。
良い方向に期待を裏切る、この瞬間がたまらない(笑)
posted by 荒井技巧 at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 制作の周辺